奇病は世界的な公衆衛生問題です。とある地区が行動を起こしました。
ストーリーPatrick Maurel
フランスのモンペリエのキワニアンであるパトリック・モレルは、リサーチ及びラボラトリー・ディレクターで、分子生物学の専門家でもあります。彼が、キワニアンをフランス・モナコ地区が行っている奇病に関する活動に紹介しました。
定義的には、奇病とは患者数がヨーロッパでは2,000人に1人、オーストラリアでは10,000人に1人以下で、アメリカでは、20万人以下の患者に影響を及ぼす病気のことを言います。しかし、患者数が少ないとはいえ、インパクトがないという事ではありません。
世界には、7,000から8,000の奇病が確認されており、世界の人口の約5パーセント、数にして約4憶人に影響を与えています。ヨーロッパでは約3,700万人、オーストラリアでは120万人、アメリカでは1,600万人が奇病に苦しんでいます。奇病には民族や社会階層などは関係ありません。奇病は確実に存在し、場所を問わず発症します。知り合いの家族に奇病で苦しんでいる人がいるという人は多いのではないでしょうか。そして、奇病は世界的な公衆衛生問題を起こしています。
最前線の子ども達
ほとんどの奇病(80%から85%)は、遺伝子(突然変異遺伝子)によるものです。また、たいていの場合、生後すぐ、または幼少期に臨床的に発症します。したがって、奇病に苦しんでいる患者の半数は子ども達で、世界ではおよそ2億人になります。これらの病気は、慢性的で、回復不可能で、一生付きまといます。奇病の65%は、身体能力を奪い、時には命までも奪います。乳児死亡率の35%は、奇病によるものだと推定されます。
もう1つの問題点は、診断が難しいということです。子どもや愛する人の病気の原因を突き止めるまでに何年もかかることはまれではありません。ほとんどの奇病には治療薬がありません(治療法がある奇病はたった250ほどだけです)。
製薬会社は、長期にわたりお金がかかり、しかもリスクを伴うリサーチを、世界で数百、数千人しかいない患者の病気に対して行いたがりません。経済的理由であることは明確です。ですので、これらの病気の診断、分子的理解、そして新しい治療法のリサーチのために別の形での資金的サポートが絶対に必要です。
真のキワニス・ミッション
今までの情報全て次の質問にたどり着きます。子ども達は、症例が少ないという理由で奇病により命を落とさなければいけないのでしょうか。
キワニスのフランス・モナコ地区は、奇病に立ち向かうことが真のキワニス・ミッションだと信じています。
ですので、これらの奇病を私達の主要な国内プログラムの対象として、2つのサポートを提供しています。
- 子ども達の家族に対して、適切な医療が受けれるように手助け
- 奇病基金という奇病の医療的・臨床的リサーチに関与しているフランスの施設への支援

マーゴットの場合
マーゴットが6歳の時の2016年3月に、彼女のことがフランス・モナコ地区に知らされました。生まれてから脳性まひに苦しみ、歩いたことはなく、車椅子での移動か地面を張って移動するかしかできませんでした。
彼女の病症が良くなる唯一の方法は選択的後根切断術という繊細な脳神経外科の技術で、痙性を軽減し、脳と下肢の痙性を持つ子どもの可動性の向上が期待できます。この手術の名医はテソン・パク医師で、「シー・H・ホワン神経外科教授」の称号を持ち、ミズーリ州のセントルイス小児病院の神経外科顧問です。しかし、マーゴットが住むのはフランスでした。
マーゴットの両親は、旅費、治療費、宿泊費などの費用を計算しましたが、とても支払える金額ではありませんでした。それで、マーゴットがフランス・モナコ地区の最初の支援対象者となり、数か月で、55,000ユーロを集めることができました。
セントルイスでの手術は成功しました。2016年のクリスマスの数日前の事でした。セントルイスに滞在中、クレストウッド・サンセットヒルズ・キワニスクラブは、マーゴットの家族を全力で支援しました。2017年9月以降、マーゴットは生まれて初めて何の援助もなしに歩くことができています。
リサーチのための資金
役には立ってはいたのですが、家族を支援することに的を絞った私達の活動では、奇病を根絶やしにすることはできません。この目標を達成する唯一の方法は、新しい診断法と治療法を開発することです。
2016年より、奇病財団により6つのリサーチプロジェクトが選択され、フランス・モナコ地区が資金を出しました。これらのプロジェクトの対象は、脆弱X症候群、コケイン症候群、大脳皮質発生奇形の遺伝メカニズム、遺伝性視神経症、心内膜線維弾性症や重度知的障害を含みます。
フランス・モナコ地区のキワニス会員達は、自分達の業績に誇りを持ち、奇病との戦いを続けています。
信念を持ったキワニアン
パトリック・モレルは、自身のキャリアのほとんどをINSERMのリサーチ及びラボラトリー・ディレクターとして費やしました。INSERMとは、フランス国立保健医学研究所です。分子生物学の博士号(パリ大学)を持ち、国際的な科学レビュー(PubMed[パブメド])において215の論文を書いています。肝臓病学と薬物解毒の専門家です。彼のグループは、C型肝炎ウイルスと幹細胞の生物学的療法の研究もしています。彼はいくつかの科学協会の会員でもあり、その協会には肝疾患と薬物解毒の協会も含まれます。最近では、バイオテクノロジー関連の会社(MedesisPharma)に最高科学責任者として参加しました。この会社は神経疾患や奇病、薬剤耐性がんの治療のための薬物送達システムの開発をしています。
モレルは2011年からキワニスの会員です。モンペリエ・キワニスクラブの会長と事務局長で、副ガバナーでもあります。フランス・モナコ地区では、モレルは奇病プロジェクトと資金調達活動を担当しています。
奇病財団については、fondation-maladiesrares.orgをご覧ください。
キワニスのどのプロジェクトに誇りを持っていますか。shareyourstory@kiwanis.orgまでご連絡ください。